ヨシノシズカ(吉野静) 花が咲く姿を静御前が舞う姿になぞらえたため。和名の「一人静」は、花の美しさを義経の愛妾・静御前にたとえ、また花穂が
1 本で、しかも清楚で静かな姿から、その名となりました。フタリシズカ(二人静)という植物もありますが、同じセンリョウ科で花穂が 通常2 本ということでフタリシズカというだけで、「一人静」ほどの可憐な美しさは、ありません。ヒトリシズカよりも1カ月ほどあとに咲きます。
葉が 4 枚輪生します。春浅い山林の縁に咲く、スミレやアズマイチゲなどが、ようやく咲きはじめたばかりの、まだ枯草色の広がる森を歩いていると、この花に出会います。多年草で、草丈は20cmほど、ブラシのような白い花をつけます。実は雄しべの集まりで、花弁も萼もない、特異な造りの花なのです。根茎は短く横に這い、ここから多数の茎が直立するので、ヒトリシズカは1本だけぽつんと咲いているということはほとんどありません。めずらしい花ではなく、北海道から九州まで広く分布していて、早春の山を歩いていれば毎年出会うことができます。
ヒトリシズカの葉はいい香りがするそうですが、漢方の本場・中国では煎汁を皮膚病や悪瘡に用い、植物全体を痛み止めや解毒などに使われていますが、日本では薬草としてはほとんど利用されていません。
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グンナイフウロ |
郡内は山梨県南東部の桂川流域の古名に由来しています。笹子峠より東側にある、大月を中心とした地域のことで、戦国大名・武田氏の家臣で、国人の小山田氏が勢力をはったところです。和名はこの郡内地方に多いことからついた名前といわれています。山地~亜高山の草地に生える高さ30~50cmの多年草です。茎や葉柄、花柄に開出毛(かいしゅつもう)と腺毛があります。上部は特に腺毛のみとなります。開出毛は、ほぼ垂直に立っている毛です。腺毛は毛の先端に膨れた分泌部があって、そこから粘液質性の液を分泌します。葉は大型で、幅6~12cm、掌状に5~7深裂し、裂片はさらに浅裂し、2~4個の鋸歯があります。両面に開出毛があり、裏面には腺毛もまじっています。花は白色から青みがかった淡紅色で濃淡があり、直径約3cm、茎頂に集散状に10数個つきます。ハクサンフウロと花の大きさは同じくらいです。 |
伊吹山は標高1,377mで、滋賀県の最高峰の山です。岐阜県と滋賀県の県境にありますが、 そこに咲くグンナイフウロは5月下旬から6月にかけて、山頂一帯を薄紅色の花で美しく彩ります。北方から分布し、伊吹山が南限です。車山では、6月以降の梅雨時に咲きますが、この毛深い草が露にぬれ、霧の中で風にゆらぐ景色は風情があります。 |
和名は白山風露ですが、石川県の白山の特産種ではなく、東北地方が北限で本州中部以北の夏の亜高山や高山の草原で、柔らかな淡紅紫色の花をごく普通に見せてくれます。エゾフウロは、ハクサンフウロの変種で北海道と東北地方北部の海岸に生える多年草です。伊吹山を局地的な南限としています。
日本アルプスの高山の雪渓周辺の草地に生えるフウロソウは、ハクサンフウロしかありません。学名にnipponicumとあるように日本特産種で、日本アルプスの草原に咲くピンク色のフウロソウはこの花しかありません。
タカネグンナイフウロは、花の色がもっと濃い紅紫色ですが形は似ています。 グンナイフウロの品種です。
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ハクサンフウロ |
花は淡紅紫色の倒卵形の5弁花で、上向きに咲きます。根生葉(こんせいよう)は、下向きの粗毛をもつ長い葉柄があって、掌状に深く5裂し、さらに裂片は3出状に2~3中裂します。根生葉とは、植物の茎が極端に短いため、根または地下茎から直接出ているようにみえる葉のことです。ダイコン・タンポポなどにみられます。 |
ズミは日当たりのよい土地を好み、乾燥気味の所にも林を作ります。赤くなる実は小さな形からコリンゴ、コナシ、ミツバカイドウなどとも呼ばれます。樹皮を煮出して黄色の染料にしたり、絵の具の原材料にもしたので、「染み」からズミの名が変化したと言われています。酢実、即ち実が酸っぱいためともいわれています。車山では、キミズミ(黄実酢実)の品種で,実が黄色のものが多いのです。
高さ5~8mになる落葉小高木で、バラ科らしく枝には刺があり、老木になると樹皮に立てに割れ目ができます。当然りんごに良く似た花を咲かせますが、ズミとエゾノコリンゴは、この車山のあちこちに並んで咲いていますが、印象的には、ズミの方がより小さく可憐です。エゾノコリンゴの上品で香り高く花も美しいです。我々が食する甘くて美味しいリンゴも、同じバラ科リンゴ属なのです。エゾノコリンゴの名の通り、野生のリンゴの一種なのです。シベリアリンゴの変種で、最も耐寒性の強い種類です。5月下旬頃に、樹冠いっぱいに白い花が咲き、秋には1cm位の果実をつけます。赤く熟す果実は、少し渋いが食べられ、秋遅く葉が落ちた後も樹上に残り、鳥などの格好の食物になります。以前は食用リンゴの台木としても使われることがありました。
尚、ヤマナシ(山梨)は、バラ科ナシ属で、山に生えるナシという意味ですが、属が異なります。
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美ヶ原から松本へ向かう途中の美鈴湖の山吹
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青空に美しく映えるレンゲツツジと八ヶ岳
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車山高原のレンゲツツジ
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アクセス |
[車]中央自動車道諏訪ICから、R152経由で車山まで45分、上信越道佐久ICから、R142経由で60分。
[電車]JR中央本線茅野駅から諏訪バスで車山高原まで1時間。バス停から徒歩4分。 |
お問い合わせ |
レンゲツツジは、6月上旬から、白樺湖周辺から咲き始めます。車山湿原では7月初め頃でしょう。
ニッコウキスゲ見頃、車山高原では7月中旬前後です。
長野県茅野市北山車山3413
リゾートイン レア・メモリー TEL0266-68-2466 | |
フデリンドウ |
青紫色の花を数個つけ林の中の日溜りに好んで咲きます。リンドウの根は有名な胃薬で苦味が強く、同じく有名な漢方薬「熊の胆(くまのい)」より更に苦い事から「竜の胆」と呼ばれ、それ音読みしてリンドウ(竜胆)となったとする名の由来説が有力ですが、フデリンドウは花を閉じた時の花の様子から、筆を連想してフデリンドウ(筆竜胆)の名が付けられました。 |
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ショウジョウバカマ |
ショウジョウとは、「猩々」という酒好きの伝説上の動物で、顔の赤いところが花の色に似ていること、根生葉がロゼット状に広がる様子を「袴」に見立てたといわれています。葉が地に広がってロゼット状になるとは、根出葉が地面を這うように放射状に広がり、バラの花の形を呈することから形容されます。 ショウジョウバカマは日本各地の山地で、少し多湿なところに生え、根茎は短いです。葉は長さ5~18cm、少し革質で滑らかです。 花は新葉が出る前に1本10~17cmの花茎を出し、花柄は淡紅から紫まで色々で、長さ1cm位で可憐です。北海道から九州まで、樹陰に生え、ほとんどどこへ行っても見られる植物です 。
ショウジョウバカマの繁殖の一つに、不定芽(無性芽)による繁殖があります。ショウジョウバカマは3年分の葉をもっています(当年葉、1年葉、2年葉)。そして2年葉の主脈の先端部に不定芽ができます。もとの2年葉は、栄養分を不定芽に送り続け、自分は枯れていきます。一方、不定芽は根を出して地面に付き、2年葉の枯れた後に自立します。
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ハシリドコロ
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ハシリドコロは本州から九州、朝鮮に分布する多年草です。冷温帯から暖温帯上部が生育地で、ブナ林の谷を歩いているとハシリドコロの群生地に出合うことがあります。 春はやくから芽をだし、新緑の頃には群生して花を咲かせています。6月終わり頃には地上部はなくなってしまう。地下に太い根茎があり、勢いのある地上茎をだし、高さ50cmほどになります。葉は長さ20cm弱になり、全草柔らかく両面無毛で、食べられそうな印象があり、緑がない時期に葉を出す為に、毒による防御が有効なのでしょう。
4月から5月にかけ、葉腋に暗紫紅色の花を付けます。 毒の成分はアルカロイドの一種、スコポリンで、チョウセンアサガオと同じ成分です。含有成分が多いので中毒になると重症になりやすく、狂乱状態が激しく、走り回るのでハシリドコロの名前が付いています。また汁液が目にはいると瞳孔が開いてしまうので要注意ですが、眼科では、瞳を開く作用を利用して、散瞳薬としても利用されています。薬用としては鎮痙・鎮痛作用があり、胃痛を鎮める鎮痙薬として胃薬に配合されています。
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ラショウモンカズラ
和名は京都の「羅生門」で、渡辺綱に切り落とされた鬼女の腕に似ているところからつけられたという。花は紫色で美しいです。
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