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「車山湿原」のレンゲツツジの紅葉です
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1992年9月に公表された環境庁の第4回自然環境保全基礎調査によれば、わが国の森林は国土の約67.0%を占めていますが、自然林は約18.0%にすぎず、その森林の多くは、二次林・里山あるいは人工林です。車山高原や霧ヶ峰などの二次草原は、明治・大正時代,国土の約11%を占めていました。しかし当時、わずか約3%まで減少していたことが分かりました。
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2015/10/15撮影
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秋を代表する花・松虫草が秋の高原一面に群生しているさまは見事です! 紫色の美しい花。車山の秋の訪れは早く、お盆頃には、秋風が吹き始めます。白樺の葉も、幾分枯れてくると、車山山頂から松虫草が咲き始め、山を駆け下ってきます。
秋の花は、すべて車山山頂から、八島湿原、霧ヶ峰高原、車山高原、白樺湖、池のくるみへと展開して行くのです。
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松虫草と一緒に咲く花、アキノキリンソウ、ワレモコウ、ハクサンフウロ、シシウド、ツリガネニンジンなどが見られます。 |
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「松虫草(マツムシソウ)」について
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8〜9月に咲き、乾いた草原に生える越年草です。花径5cm大で花弁に特徴があります。菊同様、小さな花がたくさん集まったもので、周りの花びらが特に大きい。高原の日当たりの良い草地に生え、初秋の高原で出合う花で、爽やに一段と美しいピンクかかった藤色が目立ちます。
草丈30cm〜80cm程度で、花の痕は海坊主のような形になります。それが、仏具の伏鉦(ふせがね:俗称「松虫鉦)似ているところから呼ばれるようになりました。また虫の音にも 由来し、チンチロリンとかわいい声で、松虫(平安時代の旧名は鈴虫)が秋に鳴く頃に咲くからとの説もあります。
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霧ヶ峰高原の標高約1,500以上には、日本最大規模の亜高山帯の草原が広がっています。降水量の多い日本列島では、木曾駒ケ岳のような高山や海岸風衝地に成立する自然草原を除けば、人為的干渉がなければ森林化が始まります。
多くの草原は、かつて国土の11%を二次草原が占めていました。人々の営みの中で生じる火入れや採草、放牧などにより形成された二次草原であったのです。霧ヶ峰高原の草原も、諏訪の上桑原村などの採草利用により維持されてきた二次草原でした。生活資源による採草利用が止み、草原の森林化が進むと、草原景観を維持してきたショウジョウバカマ、ニッコウキスゲ、シモツケソウ、リンドウなどは、日照不足で消滅していきます。
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「吾亦紅or吾木香(ワレモコウ)」について
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「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと ひそやかに」 高浜虚子
「吾木香」は、日本の木香の意で、その根がインド原産の「木香」に似ているから呼ばれました。それは菊科の根のことで、強い芳香があり、地楡(ちゆ)という生薬でタンニンを含み、止血剤として用いられています。
暗紅色の可憐な花をつけますが、この花はなに色だろうか?その時々に茶色、こげ茶、紫などに見えます。初夏に茎を出して高さ1mほどになり、上部は枝を出してそれぞれの先端に穂状の花序を形成します。花期は8月〜9月。花弁はなく、萼片は4枚で、それが暗紅色の花に見えるのです。
花弁のある花は短期間に色あせますが、ワレモコウのように花弁がなく、萼が花の彩りと見えて、長くその色が残るのです。ワレモコウが秋遅くまで咲いているのではなく、実際には花は終わっており、萼のために花序があると錯覚するのです。
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「山薤(ヤマラッキョウ)」について
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ヤマラッキョウは本州福島県以南の地域に生育する多年生です。車山では日当たりのよい乾燥した草原に生育することが多く、道路沿いでもよく見られます。和名は食用のラッキョウに似ているとの意味ですが、地下には球根があり、地際から数枚の細い葉を出し、夏の終わりから秋にかけて花茎を出して紫色の花を咲かせます。
花の色は日当たりの良い場所の方が赤紫が濃くなります。ネギと同じように地下に細長い鱗茎をもち、長さ20〜50cmほどの、アサツキのような細長い葉を、地際から3〜5本出します。
栽培種のラッキョウに比べると、花はヤマラッキョウの方がはるかにきれいです。ただし鱗茎はラッキョウと比べると貧弱で、食用には適しません。齧ってみると、ラッキョウのような香りもありません。辛くて味が濃く、ちょっとニンニクも入っている感じで、決して勧められるものではありません。炒めると甘味が増し、長ネギの味わいになります。ラッキョウと違って、冬になると地上部が枯れてしまいます。
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「山鳥兜(ヤマトリカブト)」について
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鳥兜の名は、中国舞楽のとき、楽人・舞手がかぶる兜と、特徴的な花の形がそれに似ているからです。花としては、実に見事ですが、世界最強といわれる有毒植物です。植物全体が有毒で、花粉さえも毒を持っています。トリカブトは日本で約30種自生しています。漢方では強壮、強心、鎮痛などの要薬として、古くから減毒法が工夫されて使われています。ただし、毒性が強いため、素人では扱えません。有毒物質はアルカロイドのジテルペン系で、毒性の強いアコニチン、メサコニチン、アコニン、ヒバコニチンを含みます。
ニリンソウとヤマトリカブトは同じ環境に生え、春先には極めて似ています。ニリンソウを摘む時は、混入しないように注意が必要です。茸同様、地元民の過信による食害が絶えません。春先、ニリンソウは白い花を付けますが、ヤマトリカブトは秋に紫色の花を付けます。ニリンソウは山菜としてのアクがなく、生食で味わえ、単純におしたしやお吸い物にしても美味しいのです。ニリンソウを採集する時は、春先のレアメモリーでも5月に白い可憐な花を咲かせます。その時を待って、花と共に食します。
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「梅鉢草(ウメバチソウ)」について
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「菅原道真」は、福岡県太宰府へと追放され、都に残してきた梅に思いをはせて句を詠ます。
東風(こち)吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ
道真公の亡骸は、現在の太宰府天満宮に葬られ祭神となり、こよなく愛した梅の花は天満宮の神紋となりました。太宰府天満宮の氏子や道真公を尊敬する人々は、こぞって梅の花を家紋としたそうです。その家紋の一つに「梅鉢紋」があります。
ウメバチソウの花から、沢山ある細い仮雄しべを省き、花弁に少し丸みをもたせると、その梅鉢紋に非常に良く似てきます。 山地の日当たりの良い斜面の草むらから、その純白の花を見つけると感動します。背丈が低いため、車山高原、霧ヶ峰などの二次草原が、森林化が進むと消滅する運命にあります。
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「梅鉢草(ウメバチソウ)」について
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釣鐘形の花と根茎が白く太い朝鮮人参に似ていることから名付けられました。若芽や根茎は山菜としても愛好されています。長野県の地方によっては「トトキ
」とも呼ばれ「山でうまいはオケラにトトキ、里にうまいはウリ、ナスビ」と歌われています。朝鮮語でツリガネニンジンをトドック(希幾)と言い、トトキとは、それが転訛したものです。「オケラ」はキク科オケラ属で、柔らかい若芽が、まだ白い綿毛に包まれているところを摘み取って、和え物やお浸
し、てんぷらなどにします。アクがないので好まれたそうです。 。ツリガネニンジンは変異の多い植物であり、茎を切ると乳液がでるのが特徴です。
多年草で、山野の乾いた草原に生え、草丈0.4〜1m。茎先に円錐状の花序を出し、数個の釣鐘状の花を輪生につけます。花は下向きに咲き、淡紫色から白色まであります。
地下に大きな根があり、これに養分を貯蔵します。それにより、夏に刈り取られると速やかに地上部を回復します。刈り取り二次草原によく適応しています。二次草原の森林化が進むと消滅する運命にあります。花期は8月〜9月。
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「梅鉢草(ウメバチソウ)」について
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リンドウは本州、四国、九州の原野に分布しています。高さ60cmくらいになる多年草で、直立あるいは斜上する茎の上部に、4〜5cmの青紫色の花を着けます。花は円筒状の鐘型で、先端は五裂します。
その他日本では、リンドウの基準変種で対馬に自生するトウリンドウ、本州中部以北〜北海道、千島、サハリンに分布するエゾリンドウ、中国東北部や朝鮮半島にも見られるトウオヤマリンドウ、本州中部から北海道の高山に分布し、7〜8月に開花するミヤマリンドウなど、数多く見られます。花期は8月〜10月。
リンドウは大陸産植物の変種で、竜胆を含む漢方方剤に、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、立効散(りっこうさん)などがあり、その苦味は強く、「まるで竜の胆(きも)のようだ」というところから「竜胆」と名づけられたといわれています。その中国名の音読みです。
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