ナズナ 快晴日和の暖かい春の日差しでした。春の七草の一つで、若苗を食用にする。かつては冬季の貴重な野菜でした。 車山の山頂から、風花が舞い降りてきます。 レア・メモリーの遊歩道沿いの片隅に、ナズナが数株花を咲かせていました。 撫でたいほど可愛い花から撫菜(なでな)なのでしょうが、小さい一株一株から、充実した生命力が伝わってきます。 春の七草の一つであっても、長い冬の車山高原では、今の時季、若苗を食用にできるのは、ナズナとフキノトウぐらいです。遅い春を実感させてくれる貴重な山菜です。 ナズナはよく洗って枯草や土などを除き、湯を沸かし、塩を入れて強めに茹でます。茹で上がったら、しばらく水で晒してアクをぬきます。 今、私は、イカの塩辛と和えて食べています。辛口の赤ワインと合います。 日本列島に栽培ムギが伝来したのは、約2千年前の弥生前期といわれています。そのムギ栽培の伝来と共に、付着して渡来した帰化植物です。 秋に芽生え、冬はロゼットで越冬し、早春から開花をはじめます。次々と花を咲かせ、下の方は果実を結び、先端部では次々とつぼみをつけて開花していきます。 このような開花と結実は、可能な限り、たくさんの種子を形成しようとする戦略です。 畑のような不安定な立地に生育するには適した方法なのでしょう。 果実の形が三味線のバチに似ていて、よく稔った花茎を取り、果実を注意深く下向きに引っ張って、茎と果柄を少し剥がして振るとシャラシャラと鳴ります。 よく見れば 薺(なずな)花さく 垣ねかな 松尾芭蕉 |
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レア・メモリーに自生 | 収穫時季等 | 調理法 |
フキノトウ | 3月下旬 車山の雪解けを待たずに顔を出す春の使者です。車山の住民としては、本当に待ちどうしい春の訪れです。諏訪湖周辺では1月に採れるそうです。実に羨ましいことです。 白色が雌株、黄白色が雄株。冬眠から目覚めた熊は最初にフキノトウを食べるとか? その後に伸びる葉の茎 、いわゆる山蕗は細いが、柔らかく香りが優しいのです。葉が出る前にフキノトウだけが独立して地上に出てきます。 寒さに耐えられるように、ツボミを何重にも苞(ほう)が取り巻いています。 |
「春の皿には苦味を盛れ」と言います。運動不足の冬の間にたまった脂肪を流し、味覚を刺激して気分を引き締めて一年のスタートです。 一般に胡麻味噌のあえものとてんぷらです。 てんぷらは低めの温度で揚げるのがコツで、揚げているうちにツボミが開くと苦味がとれます。 強い香りと苦味に慣れてくると、生のまま荒く刻んで、味噌汁に浮かべて食します。その香り、歯ごたえ、味わい共に優れ絶品です。 私は、生野菜に刻んで振り掛け、刻み海苔を散らしてゴマのドレッシングで食べます。 |
ツクシ | 4月下旬頃から いたるところに出ます。「つくし誰の子すぎなの子」とわらべ歌に歌われるように、つくしは「すぎな」の胞子茎の子供で親しみ深いものです。 野原や畑の畔、土手、道ばたなどの日当たりの良い場所に生えます。はかまと胞子穂を取って、ゆでて酢の物、佃煮、油炒め、卵とじ、和え物などでいただきます。 山菜としては、つくしが胞子を散らす前の若いものを折り取って食します。 杉菜(すぎな)の胞子葉(ほうしよう)が土筆(つくし)のため、一生懸命採って食べないと、車山のレアメモリーの前庭は杉菜だらけになります。 | はかまと胞子穂を取って、熱湯に塩少々を入れ1〜2分ゆでてから、1時間くらい水にさらします。その程度で灰汁抜きは十分です。そして、少な目の醤油と酒、みりんなどで薄く下味をつけ,、米に油揚げ.
、豚肉など好みのものをいて、薄めの塩味で炊きあげ、炊き上がり直後、醤油で味を追加し香り出しをし、同時に下味をつけた土筆(つくし)を入れて蒸らします。よく混ぜ合わせて器に盛ります。最高の調理は土筆の卵とじでしょう。いろんな工夫があります。 すぎなは一般には山菜としては利用しませんが、干してから煎じて飲みます。腎臓疾患に効能があるそうです。ただ、ドライフラワーとして根強い人気があります。 |
コシアブラ | 5月、但し車山には自生してません。しかし我が家には、4本あります。育てるのに苦労しました。幹を傷つけたときに得られる樹液をこすと、黄金色に輝く塗料がえられます。それで「漉し油」と書きます。古来、金漆(ごんぜつ)と呼ばれ、漆に似て工芸用塗料として珍重されたそうですが、その姿からは、想像も出来ません。 脂肪とタンパク質が豊富で、コクのあるまるやかな風味は山菜の中でトップクラスで、鮮やかな緑、かるいぬめり、特有の香りが魅力です。さっと茹でて塩蔵します。 |
この若葉は、天ぷらの具としては、これ以上の物に出合った事がありません。食用とする場合は、まだそれほど大きく伸びていない芽を摘み取り、元のほうにあるハカマの部分を除いたものを調理します。肥沃な土地にあるものは、太いだけでなく養分が多く美味であります。 強い苦味があるため、苦味を和らげる天ぷらにすると食べやすく、またおひたしや和え物などにも調理され、また塩漬けにして保存食とされます。 最高の素材で採りたてを新鮮の内に食してます。灰汁が余り無いので、さっと茹でて団扇(うちわ)でさまして、甘酢と山葵醤油で和えて鰹節を降って食べます。 |
ヤマウド | 5,6月、レア・メモリーの裏庭の各所に群生します。野生のウドはがっしりとして香り豊かです。ウコギ科は、草というより木の方が主流で、蓼科では、比較的高木になるコシアブラが多く見られます。 ウドは車山全体でもその群生地が増えているようです。根を残して採れば、その場所で更に増えます。霧ガ峰に多いシシウドは、セリ科の仲間で、ヤマウドとはDNAが異なります。 枯れ草を取り除くと、薄桃色の丸々とした休眠芽が見付かります。その芽を大切に!!土を戻して枯葉を積んで、春を待ちます。 |
葉から茎、そして根と総て食べれます。7月には花の蕾も美味しいです。 茎が木質化する前なら柔らかく芳香があって、灰汁抜きは寧ろしない方が良いと思います。 茎は、皮をむき、丸のまま味噌漬け 根は、皮をむき、薄くスライスしてもずくと酢の物 木質化していない茎や根の皮をむいて薄くスライスして、塩をいれたボールに10分位さらします。この下処理したウドの水気を切っると、灰汁も抜け柔らかくなってきます。それだけでスープ、サラダに使えます。 |
コゴミ | 5月下旬 直ぐ葉が開く為、収穫期間は、短いです。見分けのコツは、茎の内側に沿って両側に、白い線が走っています。 コゴミはクサソテツというシダの若い葉で、おひたしなどにして食用としますが、クサソテツは北半球に広く分布しています。日本人はワラビやゼンマイなど、いろいろなシダを食べていますが、食用として利用されるシダ植物は決して多くありません。その中で、アメリカ、イギリスなど世界各地で広く一般に食用とされているのは、この種だけでのようです。車山では木陰の多い草原などにみられます。まだ辺りが枯れ野原の時季、春を告げるように新緑の芽を伸ばし始めます。 あまり場所を選ばず、意外な所に自生してますが、採るのは1株で2芽位にします。段々、枯渇の傾向です。 |
まるで野菜です。灰汁は全くありません。但し、香りもありません。ただ、歯ごたえと言うか....盛り付けた時に、上品な姿がいいというか?北米では加熱時間の短いコゴミを食べて、嘔吐、下痢などの中毒症状を起こす例が知られています。余り一度に沢山食べない事です。 塩湯でして、お浸し、山菜サラダが、一番かも?お吸い物にもいいですね。薄い衣で天ぷらも最高です。それと、一度食すると、とりこになります。出始めは茶色の皮に包まれています。茶色いのは枯れているのではなくて,胞子葉のようです。 筋っぽくやや硬いので、沸騰したお湯に浸し、再びフツと沸いてから数分茹で、手早く冷水にさらし、茹で加減を整えます。茹でたこごみに鰹節をかけ、酢醤油につけて食べます。梅干とマヨネーズ和えも美味しいです。 |
タラの芽 | ウコギ科の「たらの木」の芽ですが、 山野に自生し車山では6月頃地中を走る地下茎で、どんどん増え広がり4〜5mの高さになります。若芽が食用です。たらの木はマッチの軸などに使われる軟らかい木で、 茎はすりこ木の材料で、根と樹皮は、薬用、特に樹皮は糖尿病に有効だそうです。 各茎で芽を一回採ってもその横から第2の芽が出ますが、その第2の芽も採ってしまうと、 その枝は枯れてしまいます。よく山菜採りのマナーの例としてあげられる話です。 |
山菜類は精の強いもの、アクの強いものばかりですから食べすぎには注意が必要です。意識が朦朧となった事例が多いそうです。採ったものははかまを取って、天ぷらやフライ、直火焼きにすると美味しいです。和え物するなら茹でて水にさらします。ほろ苦さとさわやかな香りがあり、付け根の太い部分はボリュームもあり歯ごたえがあって、どんな調理法でも楽しめます。
若芽の天ぷらが、最高!!意外性のある一品は 少し灰汁があるので、塩茹でして一枚一枚の葉に分け、酒・ミリン・醤油で甘辛く煮た鳥のもも肉に片栗粉を入れて、そのとろみを付けた中に和えて入れると美味しいです。 |
ミネバ | 釣鐘形の花と、根がチョウセンニンジンに似ていることから名が付きました。車山には多く見られます。6月春の若芽『トトキ』が裏庭周辺至る所で取れます。 日当たりのいい草原や山道の脇などに生える多年草で、夏の終わりから秋にかけて薄紫の綺麗な花を咲かせます。 |
春の若芽は『トトキ』といって美味しい山菜です。灰汁はありません。若苗、葉はゆでてから細かく切って納豆とあえ、ごはんの上にかけて食べます。他に、おひたし、油炒め、スープの実に、根はゆでて和え物や煮物にします。花は生のまま酢の物やサラダに。 塩茹でして、鰹節をふって、甘酢で食べます。豚小間と一緒に天ぷらにもします。 |
マユミ | 材質が強いうえによくしなる為、古来より弓の材料として知られ、名前の由来になりました。6月 淡緑色の新葉を食します。 車山では10月が紅葉ですが、薄紅色の淡い紅葉とその実が柿色に染まりはじける美しさは深山ならではです。 |
『トトキ』の山菜と同時季です。料理も一緒です。この若葉を菜飯(なめし)にして食べるとおいしいです。 天麩羅やおひたしなどにも向きます。ただ、種子に含まれる脂肪油には薬理作用の激しい成分が含まれており、少量でも吐き気や下痢、大量に摂取すれば筋肉の麻痺を引き起こすため、種子は食べてはならない、また紅葉期に赤くなる実の仮種皮は有毒です。ただ、食べ過ぎに注意!! |
ワラビ | 春から初夏にまだ葉の開いてない若葉を採ります。根茎から取れるデンプンを「ワラビ粉」として利用もします。ただ、毒性があるためそのままでは食用にできなません。 牛や馬、羊などの家畜はワラビを摂取すると中毒症状を起こし、
また人間もアク抜きをせずに食べると中毒を起こします。これがワラビ中毒です。毒成分はプタキロサイドで発癌物質でもあります。また、調理したものであっても大量に食べると体じゅうが大量出血症状になり、骨髄がしだいに破壊され死に到るそうです。 6月 車山の日当たりのよい高原、谷地などの日当たりのよいところに群生しています。車山の火山灰地の酸性土壌を好むようです。 若葉を摘んで食用にするほか、根茎から取れるデンプンを「ワラビ粉」として利用します。 |
灰汁が強いので<、市販の灰汁抜きの粉を使う方が簡単でしょう。信州車山住人としての灰汁抜きの方法は、人よっていろいろ方法に違いがありますが、一般的な方法としては 1) 木灰や、重曹をワラビに振りかけ、まんべんなくまぶしておく。 2) ワラビ全体が浸るようになるくらいまで、熱湯を注ぎ、落とし蓋をして、かるく重しをしてそのまま一晩ほど放置しておく。 3) 良く水洗いをする。 4) 鮮やかな緑色に、茹でます。 一般的な調理法(これが一番美味しいです) 1) あく出しがすんだワラビをさっと茹でて、適当な大きさに切る。 2) 器に盛り、醤油をかけ、上に鰹節をかけて出来上がり。 後は、いろいろな醤油ベースで....その何ともいえない、ぬめりと舌触りをご賞味下さい。 |
ミツバ | 車山では6月から秋・霜が降るまでの長期にわたって採りますが、後から新しい柔らかな葉が 次々と出ますので大変重宝しています。 山地の木陰を好みますが環境に抜群の適応力があります。日本各地の山地などに生育する日本在来種の多年草です。 江戸時代には既に食用として栽培されていて葉の形から「ミツバゼリ」と呼ばれ、簡略化して「ミツバ」となりました。野生のものの方が香りが高く小粒ですがビタミンC、カルシウムも豊富です。 |
灰汁と言うより 独特の香りと味があります。特に、茎の方が美味しいです。 ただ小ぶりだけで野菜として畑で栽培されてる物と変わりません。葉や若い茎はおひたし、吸い物、鍋料理、天ぷら、卵とじなど同じ調理法です。ただミツバゼリは7月下旬ごろ花芽を付け、白い小さな花を咲かせますが、硬くならない前でしたら、同じ調理法でたべられます。 三葉芹は三春となっております。品種分化の少ない日本伝統野菜ですが、この時期が旬と言うべきでしょう。ただし、車山はこの時季雪の中です。食欲増進、利尿、健脳、視力強化、不眠症、貧血予防などに効果があります。 |
アマドコロ 車山高原のアマドコロは、今が、開花時期です。 葉先5枚ぐらいと、白い美しい花を、水に晒して、生のままサラダやスープの浮実にします。 旬ならではの、甘い香りと味わいがあります。 元々、アマドコロにはアクがありません。微かな「えぐ味」があるのかな、といった感じです。 アマドコロの茎は、さっと茹でて水にさらしてよく絞り5cm位に切り、酢味噌和えで食べます。 旬の車山のアマドコロでしたら、生のまま、玉ネギ・ベーコンと、バターで炒めた後、オリーブソースにしたてて、パスターソースにすると美味しいです。 |
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