車山高原 さわやか信州 旅日記 9月
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秋の霧ヶ峰. 雄大に展開するススキの花穂と富士山! この広大な霧ヶ峰高原こそが、諏訪の人々の生活の糧でした。 薪炭用材・田畑の肥料・家萱・秣・厩肥・その他建材など限りがありせん。 9月末頃、八島ヶ原湿原ならではの草紅葉が美しく高原を紅色に染めます。 ⇒秋の車山高原に咲く花々 |
2015年 9月の車山日記 |
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2014年 9月の車山日記 |
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霧ヶ峰の蛙原上空を滑空するグライダー |
蛙原には、諏訪市グライダー協会の霧ヶ峰滑空場があって、晴れた休日には、秋の高原の高い空に浮かぶ「扁平雲」の下を、グライダーがゆったりと飛行します。 見事なまでのススギの花穂が広がる草原の前方には、車山・蓼科山・八ヶ岳・富士山・甲斐駒ケ岳が地平の彼方にあって、グライダーの下に浮かんで見えます。目の前の2つ並んだ山は、高ボッチです。池のくるみにスキー場があった時代、そこにはジャンプ台が備えられていました。 私が見惚れるグライダーを、天空に曳き挙げるロープは、この後、45度にグライダーを反り上げ、その頂点に達すると引き離され、落下傘と共に、ゆっくり滑走路脇に落ちてゆきます。 (2012.9.30[Sun])
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八島ヶ原湿原の草紅葉 |
秋の八島湿原は草紅葉が有名、夏の喧騒が去って、人の気配が余りなく、広々とした紅茶色の世界が展開します。 湿原の周囲には、散策用の木道が整備されて、男女倉山や車山連峰の雄大な景観を満喫しながら1時間ぐらいで一周できます。 アサマフウロ・ヤナギラン・ヨツバヒヨドリなどの紅色が特に印象的です。 ヤマドリゼンマイの茶褐色も、群生していますから、草紅葉の風景に厚みを与えています。 木々では、レンゲツツジの紅色とマユミの薄桃色の紅葉が、それぞれ特徴があり、散策の道々の楽しみになります。 (2012.9.29[Sat])
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霧ヶ峰高原のススキ |
ススキの白い花穂と未だ緑の草原を保つ高原の景色が美しい!ヤマラッキョウが所々で紅紫色の花を咲かせていました。夏の終わりごろから、ワレモコウやユウガギクの花の周囲を飛び交っていた赤トンボは、里へ降りてしまったようです。 赤とんぼは梅雨頃に羽化し、広く人目に触れるようになる秋まで車山から八島湿原などの高地で過ごします。 赤とんぼは、今では日本列島の特産種ですが、祖先種はユーラシア大陸の北部であると考えられています。氷河期に日本列島まで南下し、その後の日本列島の温暖化にともない体が大形化すると共に、高地への移動習性を身につけることにより、日本列島に定着し、アキアカネとなったとみられています。暑い夏を涼しい車山や霧ヶ峰の高地で過ごすことで、温暖化していく日本列島に適応したようです。 (2012.9.27[Thu])
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山里の稲穂の輝き |
長野県小県郡長和町古町の稲穂が黄金色に輝いていました。美しい実りの秋の風景です。 そこから先に、車山から車で40分もかからない古町立岩地区に『立岩和紙の里』という和紙をすく工房があり、その玄関口から表が「手打ち蕎麦」の食堂です。立岩和紙は300年の伝統があるそうです。最盛期には50戸ほどの紙すき農家があり、主に障子紙を作っていました。依田川の清流のほとりですいていました。 機械化が進み、紙漉く農家の経営もままならなくなり衰退しました。 我が家は、20数年、『和紙の里』に通っています。新蕎麦は来月からのようです。そこから旧道へ入り100m位すると中立岩地区となります。クルミの大木がありました。たくさんの実をつけています。 そこから、依田川を越えた前方に、その地区の名称となった立岩が眺められますた。ここの秋の紅葉は見応えがあります。 (2012.9.26[Wed])
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長野県長和町 和紙里の紅葉 |
長和町の「信州立岩和紙の里 長門町ふるさとセンター」で、ざる蕎麦を食べました。 信州立岩和紙の里は、その名の通り和紙の製造・販売をしている施設ですが、手打ち蕎麦も好評で、もう20数年通い続けています。新蕎麦は10月に入ってからだそうです。 依田川が流れる、裏の立岩の紅葉が、素晴らしい! 依田川は大門峠を源流とする大門川、八島湿原を源流とする男女倉川、和田峠を源流とする和田川などを支流とし、上田原で千曲川に流れます。 (2012.9.20[Thu])
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ユウガギク |
ユウガギクは秋の山野を彩るいわゆる野菊と呼ばれている仲間です。日当たりのよい山野に生える多年草です。柚が菊、あるいは柚香菊の意とされています。 柚の香る菊といわれるが、葉はちぎって食べてみても、その香りはほとんどありません。ただ、爽やかな香りがして美味しいです。花の中心部にある黄色の筒状花を食べてみると、かすかな苦味を伴いますが、柚の香りがいたします。 ユウガギクは山菜でもあります。春から夏にかけて新芽・若葉を摘み、そのまま天ぷらにします。 また軽く茹でて冷水に晒し、胡麻和えやおひたしにしたり、スープの具にします。 ユウガギクの花びらを冷酒に浮かべて飲んだりもします。 (2012.9.15[Sat])
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深山に生えるハンゴンソウ |
車山湿原から沢渡に向かう樹叢内と八島ヶ原高原には、ハンゴンソウの大きな群落があります。 ハンゴンソウは車山のレア・メモリーの裏庭にも、群生しています。ハンゴンソウがこれだけ群落するのは、香りが強く鹿が食べないからだそうです。秋の山で必ずといっていいほどよく見かける大型の植物です。ハンゴンソウは反魂草と書き、供花として用いられ、死者の魂を呼び戻すという説と、強い香りで、死者を蘇らせたという言い伝えとがあります。 ハンゴンソウは山菜です。6月初旬、葉が開く前の若芽を根元から鎌で切り取ります。天ぷらでもいいのですが、茹がいてから、下の方から皮を剥き、特有の香りと苦味が強いので、水に数時間さらして灰汁抜きをします。 茎を3~4cmの食べやすい大きさに切りそろえて、かつお節をのせ、ポン酢をかけるか、酢味噌で和えて食べます。 葉が開く前の若芽の頃は、猛毒なハシリドコロと似ていますから気を付けて下さい。 (2012.9.12[Wed])
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車山の宿泊通りに咲くツリフネソウ |
釣船草と書きます。花の形が帆掛け船を吊り下げたように見えるからだそうです。また活け花の釣船型の花器に似ているから、という説もあります。 北海道から九州と広く分布する一年草です。秋の野山ではどこにでも見られる花で、マツムシソウやハンゴンソウと同じように、車山の山道を歩いていてこの花を見かけると、秋の到来をしみじみとした感傷を伴い知らされます。 茎の高さは50cmぐらい、花は径3cmほどの紅紫色で、7~8個の帆掛け船を、細い柄にぶら下げます。 ホウセンカ(鳳仙花)と同じ仲間で、熟した果実に少し触れるだけで種をはじきとばす特徴があります。 ツリフネソウより少し高地では、花の径4cmほどの黄色いキツリフネ(黄釣船)も見られます。 (2012.9.11[Tue])
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車山ではアキノキリンソウが最盛期 |
車山山頂ではアキノキリンソウが見ごろとなりました。ヤマラッキョウも咲き始めました。アキノキリンソウは、日当たりのよい山野を好む典型的な陽性植物です。伝説の動物である麒麟を連想させるキリンの名は、花が美しいベンケイソウ科のキリンソウに似ているからで、それが秋に咲くのでアキノキリンソウの名があるのです。若苗の葉の柔らかい部分は山菜として食べます。揚げ物にしたり、お浸しや胡麻和えにします。 車山山頂から車山湿原の遊歩道沿いでは、ウメバチソウ、アキノキリンソウ、オミナエシ、ツクバトリカブト、アカバナ、サラシナショウマ、ヨツバヒヨドリ、ゴマナ、ノコンギクなどの花が楽しめます。マツムシソウは終わりかけですが、車山中腹から山麓の遊歩道沿いでススキの花穂の大群落が、秋の陽射しに映えて美しいです。 (2012.9.10[Mon])
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車山高原に咲くトリカブト |
車山高原から車山乗越・山彦尾根・男女倉山(おめくらやま)・八島ヶ原湿原と高燥な高原を散策すると、今一番きれいに咲いているのが、美しい青紫のトリカブトの花です。 毒草とは思えない気品を備え、初秋の透明度の高い青空に、次々と券雲や券層雲が湧き出ては流れてゆく、そんな爽やかな日射しの中、群生することもなく気高く屹立する姿は、余りにもまぶしいものです。 (2012.9.8[Sat])
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車山ビオトープのサワギキョウ |
山間の沢辺などの湿った草むらにしばしば群生します。花形は全く似ていませんが、草姿や花の色がキキョウに似ていることから沢桔梗と名付けられました。同じキキョウ科でも他のキキョウ類とは花形が全く異なります。 茎は分枝せず直立し、50cmから90cmほどになり、上部に鮮やかな紫色の花の蕾を多数つけ、下の方から順次、美しい花を咲かせていきます。 秋の高い青空に映えます。 美しい山野草でりながら、有毒植物としても知られ、有毒物質ロベリンを全草に含み、麻酔などに利用された例もあったそうですが、危険が大きいようです。 (2012.9.3[Mon])
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山ウドの実が美味しい季節になりました |
車山高原のリゾートイン、レア・メモリーでは、庭に自生する山ウドの花の部分を天ぷらにしてお出ししています。苦味はあまりなく、むしろ優しいハッカのような香りと味が楽しめます。 山ウドの花は真っ白な粒を球形にし、それを幾段にも上部へ伸ばしていきます。珍しいし、美しくもあり壺に生けますが、残念ながら直ぐ黒ずんでしまいます。自然の中で、そのままの状態を観賞する方が適っているようです。 レア・メモリーでは、開花後の実の粒を摘まんで、料理の薬味として使っています。 (2012.9.1[Sat])
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レンゲツツジの紅葉 |
車山のレア・メモリーの庭のレンゲツツジが紅葉をし始めました。レンゲツツジとナナカマドの紅葉と白樺の黄葉との競演は、あと1週間はかかるでしょう。 来年の花芽が、既に冬芽となり1cm程に育っています。こうして-20℃の厳しい冬に耐え、来年の5月下旬頃から急激に大きくなって、6月中旬には鮮やかな朱色の花を咲かせます。 レア・メモリーのレンゲツツジの紅葉状態からみて、車山湿原・八島湿原と美ヶ原の草紅葉は、10月上旬位と思われます。車山全山が紅葉するは中旬頃でしょう。すると白樺湖の紅葉は、下旬と予想されます。 (2011.9.26[Mon])
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車山の火口跡 |
車山肩から車山の西側のなだらかな斜面中腹に、火口跡がみられます。丁度、その辺りにススキの花穂が群生し、他の笹が茂る高原から独立して白く浮かび上がって見えます。 40万年前にほぼ火山活動が終息したころは、安山岩による柱状節理の岩肌を晒していたと思われます。その後、木曽御嶽山と乗鞍岳などの頻発する大噴火による噴出灰が、偏西風に乗って、降り積り、ローム層と呼ばれる赤土を堆積層させました。 (2011.9.25[Sun])
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八島ヶ原湿原の今 |
9月24日車山肩で撮影! そろそろ草紅葉が始まりそうな八島ヶ原湿原です。 時季は短いです! 霧ヶ峰高原はススキの花穂が夕陽を浴びて、銀色に輝いてきれいです。八島ヶ原湿原も鷲ヶ峰・三峰山・美ヶ原を背景に、草紅葉の到来を待ち望んでいます。 三峰山の山頂近くにある大岩は「神の椅子」と呼ばれ、恋人同士で訪れると恋が成就すると言うサンクチュアリです。 (2011.9.24[Sat])
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車山高原にリンドウが咲き始めました |
マツムシソウが終わりかけ、漸く濃い青紫色のリンドウが咲き始めました。その他、ヤマトリカブト・ヤマラッキョウ・ハバヤマボクチなど、紫から青色系統の花々が、秋の高く穏やかな澄み渡った空に映えます。 ススキや丈の高い草花に隠れがちですから、注意深く観察して車山を散策して下さい。 (2011.9.19[Mon])
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昼間は晴る車山高原 |
ここ数日、朝晩曇りがちです。夕方からめっきり冷えてくるからです。そこに太平洋高気圧が張り出していますから、独立峰的な車山は靄や霧で包まれることが多いのです。 写真にうっすらと見える富士山方向から吹き上げてきます。眺望に恵まれた車山高原の宿命です。朝10時近くなれば、晴れ渡ってきます。 朝、曇っていても諦めず、霧ヶ峰高原や八島ヶ原湿原などを散策して下さい。それから車山の山頂を目指せば、途中から晴れてくるでしょう。写真のような眺望が期待できます。 (2011.9.12[Mon])
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車山高原のヤマラッキョウ |
車山高原のヤマラッキョウは、眺望に恵まれた日当りのよいススキの草原に生えています。 可憐な薄紅色の花をポイントに、車山高原から見晴らす八ヶ岳・富士山・甲斐駒ケ岳・守屋山をバックに撮影します。 地下に細長い球根がありますが、らっきょうのように球根が太くならないので、食用にはしないようです。 花はらっきょうよりきれい。 (2011.9.11[Sun])
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蛙原の霧鐘塔 |
霧ケ峰高原のシンボル蛙原(げいろっぱら)の頂点にある霧鐘塔は、霧の深い時など鐘を鳴らして、その位置を報せます。昭和34年12月に建設されました。平林たい子の詩が銅版がはめこまれています。 鐘がものをいふ、霧だ霧だと 霧がものをいふ 生きろ生きろと 霧鐘塔からのは眺望は、夕陽に映える霧ヶ峰高原と、茜色に染まる富士山、八ヶ岳、南アルプスが幻想的です。360°の大パノラマは日本百景の一つ、美ヶ原高原の姿が優しい! (2011.9.9[Fri])
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霧ヶ峰高原のウメバチソウ |
富士山撮影の絶好のスポット、強清水の日当りのよいススキの群生地に数輪ごとのウメバチソウの小群落が見られます。ウメバチソウは高山の岩の間に咲くことが多く、小形でありながら目立ちます。日本全土および北半球の温帯、寒帯に広く分布しています。花の形が天満宮の紋章の梅鉢紋に似るのでこの名がつけられたそうです。 小さく可憐ですが、純白の気品溢れる美しい花です。 (2011.9.8[Thu])
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霧ヶ峰高原の初秋 |
霧ヶ峰高原は、一面ススキの尾花で、広く銀色に染まっています。今日は、久しぶりの快晴で、富士山もくっきりと眺められました。八ヶ岳と南アルプスの間に浮かぶ美しい風景です。 強清水を散策すると、ススキの群落の間々に、マツムシソウ・ヤマラッキョウ・ハハコグサ・アキノキリンソウ・オミナエシなど、たくさんの秋の花々が咲いています。 特にウメバチソウの可憐な純白の花が目立ちます。 (2011.9.7[Wed])
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八島ヶ原湿原の宿り木 |
8月31日撮影しました。御射山に向かう木道沿いです。宿主(しゅくしゅ)はミズナラです。 宿り木の果肉は粘液を含んでおり、枝などにひっついて定着します。発芽すると根を幹の中に喰い込ませ、樹木から水分と養分を吸収します。落葉樹に寄生する常緑の小低木で、冬でも青々として生命力を感じさせます。 御射山の方は、ススキの花穂で覆われていました。土壇の様子がよく分かります。 (2011.9.1[Thu])
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車山のジゴボウ(茸)と朴葉焼き |
本日、初物の「ジゴボウ(茸)」を収穫しました。小ぶりですが、噛むとシコシコして、口の中に香り広がります。 レアメモリーの裏庭の唐松林の下草から生える「ジゴボウ」の収穫時季の到来です。採り立て「ジゴボウ」の香りスープが人気です。今年は、朴葉焼きにしても、お出ししています。 その香りと歯ごたえを味わうため、余り手を加えないことです。お勧め料理は、塩を入れて湯通しして、そのまま冷まし大根おろしと酢醤油で食べます。みそ汁の具としても美味しいです。バターで炒め薄口醤油とワサビをからめると赤ワインと合います。 「ジゴボウ」の正式名は「ハナイグチ」ですが、地元では「リコボウ」とか「カラマツタケ」とも呼ぶようです。 (2010.9.27[Mon])
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車山の朴葉焼き |
近くに朴の木があり、葉はまだ緑色です。今、メインの肉料理は朴葉焼きにしてお出ししています。豚の肩ロース肉ブロックを、昆布・干し椎茸とたっぷりの高原野菜で茹でます。長ネギを揉んで入れ、天然塩を使うことがポイントです。茹で上がり過ぎないよう注意して下さい。柔らかなチャーシューを作るのです。 取り出したら熱いまま、タレに一昼夜漬け込みます。タレは酢を沸騰させ続け、甘味が生じたものをベースにします。 朴葉の上に、厚くカットしたチャーシューと秋ナス・里芋・レンコン・ゴボウ・ニンジンなど旬の高原野菜を載せます。ただ、野菜類は前もって和風味で調理しておきましょう。先ほどの椎茸も厚めにスライスして並べますが、収穫できれば裏庭のジゴボウを使います。新鮮で香りがよいですから・・・・。 ソースはしつこくならない様に、鳥ひき肉と信州味噌をベースにします。私は入れませんが、プロはコク出しに砂糖を多用します。朴葉焼きは、野生風味が最大の味わいです。入れるならマヨネーズをお勧めします。ショウガを少しだけ磨って入れます。ニンニクは朴葉の香りの邪魔となりますから入れません。どうぞ、アツアツの出来立てを、ご賞味下さい! (2010.9.25[Sat])
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霧ヶ峰のカボッチョ山 |
江戸時代、茅場の場合、草刈りや火入れを定期的に行うことで、ススキ草原の状態を維持してきました。車山高原と霧ヶ峰高原は、諏訪の人々が生きていくための必要最低限度の資源の供給地でした。住居の屋根を葺くための家萱、田畑の肥料としての刈敷、馬の飼料としての厩萱(まやかや)とそれが肥料化する厩肥(うまやごえ)など、大切に保護されてきた天然資源でした。 花穂は黄色ぽいが、種子、性格には穎果(えいか;果皮が薄く木質で、種皮と密着している果実)に白い毛が生えて、穂全体が白っぽくなるので、陽射しを受けると白銀色に輝くのです。この時、初めて車山の住民は秋を知るのです。種子は高原の風に乗って飛び散ります。 カボッチョ山の「カボッチョ」とな、何の意味でしょう?「株切」から転訛したのか、それを意味する古代の方言か?カボッチョ山周辺は古来、優良な萱の採集場所で、現在でも広く展開するススキの花穂が美しい高原です。大字典によれば「株切」は「同じ長さに切りそろえた小児の髪」をも表現するそうです。すると里の人々が、萱を採集しそろえて束ねたものを称したようにも思えます。 秋の七草の一つで15夜の月見には、ハギとともにススキを飾ることが多いのです。 山上憶良が万葉集にて、『萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし)また藤袴 朝顔の花』と詠んだように秋の七草の一つに数えられています。 (2010.9.12[Sun])
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カボッチョ山の森林化 |
ススキ(芒、薄)とは、イネ科ススキ属の植物で萱とも尾花ともいわれます。花穂を獣の尾に見立てて、尾花とも呼ばれてもいます。野原に生息するごく普通の多年生草本です。地下には短いがしっかりした地下茎があり、そこから多数の花茎を立てます。植物遷移の上から見れば、ススキ草原は草原としてはほぼ最後の段階と言えます。ススキは株が大きくなるには時間がかかるので、初期の草原では姿が見られませんが、次第に背が高くなり、全体を覆うようになります。ススキの草原を放置すれば、ミズナラ、アカマツなどの先駆者的な樹木が侵入して、次第に森林限界近くではしばしば純林に近いダケカンバ林となり、森林へと変化していきます。 カボッチョ山も森林化が進み、車山肩の南斜面・イモリ沢辺りに小さな松が群生し始めています。 (2010.9.11[Sat])
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カボッチョ山一 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
霧ヶ峰の中心、カボッチョ山の標高は1,681mあります。本日、9月10日、散策してきました。山頂から眺める諏訪の平は、明るく穏やかで、広々とした山里風景でした。デイダラボッチ伝説で有名な小泉山が右で、大泉山が左に見えますが、カボッチョ山の山頂からは、小泉山の方が圧倒的に大きく見えます。 めづらしき 君が家なる 花すすき 穂に出づる秋の 過ぐらく惜しも 「万葉集」 『注釈』懐かしいあなたの家の花すすきが穂を出している秋、この美しい秋が過ぎ行くのは何とも惜しまれてなりません。 9月中旬、今まで余り目に付かなかったススキの花穂(かすい)が開き、西日を浴びて、車山高原一面、白銀色で覆い尽くします。諏訪の平から吹き上げる高原の山風が、広大に展開する白銀の花穂を揺りさざめかします。 箱根の仙石原も雄大ですが、規模、ボリューム共に、車山から霧ヶ峰に広がるススキの原野の方が勝ります。また東の蓼科山から、南アルプスと伊那山地、西の三峰山、美ヶ原と望洋される山岳風景は、車山高原、霧ヶ峰高原ならではの景観です。カボッチョ山の山頂からは、諏訪大社上社の御神体・守屋山が一段と大きく眺められます。 9月の末頃から、霧ヶ峰連峰の最高峰・車山の山裾に広がるレンゲツツジとズミの葉が、色彩豊かな紅と朱で色づき始めます。 (2010.9.10[Fri])
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2009年 9月の日記
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